2008-01-24から1日間の記事一覧
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ (ながからむ こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ) 待賢門院掘河 「あなたの心が末永く変わらないかどうかもわかりません。お会いして別れた今朝は、寝乱れ髪のように心も乱…
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ (あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのささやき) 左京大夫顕輔 「秋風に吹かれてたなびいている雲の切れ間から、もれ出てくる月の光の、なんとすみきった明るさであ…
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守 (あはぢしま かよふちどりの なくこえに いくよねざめぬ すまのせきもり) 源兼昌 「淡路島から飛んでくる千鳥の物悲しい鳴き声で、いく夜目をさましてしまったことであろう。須磨の関守は。 神戸市…
背を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思う (せをはやみ いはにせかるる たきがはの われてもすえに あはむとぞおもふ) 崇徳院 「川瀬の流れが岩にせき止められ、その急流が二つに分かれてもまた一つになるように、今はあなたと別れても将…
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 (わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもいにまがふ おきつしらなみ) 法性寺入道前関白太政大臣 「広々とした海に船を漕ぎ出すと、はるかかなたの沖に雲と見間違えるばかりの白波が立っ…
契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり (ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり) 藤原基俊 「あなたがお約束して下さった「ただわたしを頼みにせよ、させも草だ」という言葉を命にしてきましたが、こ…
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを (うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを) 源俊頼朝臣 「わたしに冷たかった人が、わたしに心を向けてくれますように。初瀬の観音様にそうお願いしましたが…
高砂の 尾上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ (たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ) 権中納言匡房 「遥か遠く高い山の峰の桜が咲いたな。人里近い山の霞よ。花が見えなくなるから、立ちこめないでおくれ。 …
音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじゃ袖の ぬれもこそすれ (おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじゃそでの ぬれもこそすれ) 祐子内親王家紀伊 「うわさに高い高師の浜のあだ波のように、浮気で有名なあなたの言葉は心にかけますまい。あとで袖が…
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く (ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく) 大納言経信 「夕方になると、家の前の田んぼにおとづれる秋風が、蘆葺きのこの粗末な家にも寂しく吹いてくる。 寂しさFRE…