2008-01-25から1日間の記事一覧
よもすがら 物思ふころは 明けやらぬ 閨のひまさへ つれなかりけり (よもすがら ものおもふころは あけやらぬ ねやのひまさへ つれなかりけり) 俊恵法師 「一晩中、恋人のつれなさを嘆くこのごろは、いつまでも朝の光がさし込まない寝室のとの隙間まで無情…
長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき (ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき) 藤原清輔朝臣 「生きながらえれば、このつらい思いも懐かしく思い返されるのだろうか。あのつらかった昔も今では恋…
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる (よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる) 皇太后大夫俊成 「この世の中に辛さから逃れる道などないんだな。つらさから逃れるために入った山奥でも鹿が悲しげに鳴い…
思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり (おもひわび さてもいのちは あるものを うきにたへぬは なみだなりけり) 道因法師 「つれない人を思い嘆いてはいても、命を捨てることも出来ず、つらさに絶えきれずに落ちてくるのは涙であるよ…
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる (ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる) 後徳大寺左大臣 「ほととぎすが鳴く方を見ると、その姿はもうなく、ただ有明の月がひっそりと残っていた。 明け方に鳴…