2008-01-22から1日間の記事一覧
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 (あらざらむ このよのほかに おもひでに いまひとたびの あふこともがな) 小式部内侍 「大江山を越え、生野を通って行く道は遠いので、まだ天の橋立の地は踏んでみたことはありません。 歌合に出す…
やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな (やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな) 赤染衛門 「あなたが来ないとわかっていれば、ためらわず寝てしまったでしょうに。ずっとお待ちしているうちに…
有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする (ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする) 大弐三位 「有馬山の近く、猪名の笹原が風が吹かれて「そよ」とざわめくように、あなたは私の思いが頼りないというけれど、…
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな (めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よはのつきかな) 紫式部 「久しぶりに会った幼なじみは、あっという間に帰って行ってしまった。あわただしく雲に隠れてしまう夜…
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな (あらざらむ このよのほかに おもひでに いまひとたびの あふこともがな) 和泉式部 「わたしはもうすぐ病でこの世を去るでしょう。せめてその前にもう一度あなたにお逢いしたいものです…
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ (たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ) 大納言公任 「この滝の流れは絶えて、水の音が聞こえなくなってからずいぶんたつ。その美しい滝の音は評判で、世…
忘れじの 行末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな (わすれじの ゆくすえまでは かたければ けふをかぎりの いのちともがな) 儀同三司母 「あなたがいつまでも忘れないとおっしゃるその言葉は、あてにならならないので、その嬉しい言葉を胸に今日限…
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る (なげきつつ ひとりねるよの あくるまは いかにひさしき ものとかはしる) 右大将道綱母 「おいでにならないのを嘆きながら、一人で寝る夜がどれほど長いか、あなたはおわかりにならないで…
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな (あけぬれば くるるものとは しりながら なほうらめしき あさぼらけかな) 藤原道信朝臣 「夜があければ、やがてまた日は暮れる。そうすればあなたに逢えるとしってはいるが、恨めしく思え…
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを (かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを) 藤原実方朝臣 「伊吹山のさしも草が燃えるように、わたしの恋しい思いが激しいとは、あなたはご存じないでしょう…