2008-01-23から1日間の記事一覧
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ (さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづくもおなじ あきのゆうぐれ) 良暹法師 「さびしくて、庵の外に出てあたりを眺めたが、どこもかしこも同じさびしい秋の夕暮れだった。 寂しさM…
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり (あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり) 能因法師 「嵐が吹き散らす三室山の紅葉の葉が、ふもとを流れる竜田川の川面をうめ尽くし、錦のようにするのだな。 竜田あげ」
心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな (こころにも あらでうきよに ながらへば こひしかるべき よはのつきかな) 三条院 「心ならずも、つらいこの世に生きながらえれば、恋しく思い出されるに違いない。今夜の美しい月のことを。 …
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ (はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそおしけれ) 周防内侍 「短い春の夜の夢のような、はかないたわむれの手枕のために、つまらない浮き名が立ったら残念なことです。…
もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし (もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし) 前大僧正行尊 「わたしが懐かしく思うように、おまえも懐かしく思ってくれよ、山桜。こんな山奥では花であるおまえ以外に…
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恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ (うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそおしけれ) 相模 「相手の薄情さを恨み悲しみ、涙にぬれて乾くまもない袖でさえ朽ちないであるのに、この恋のためにつまらない…
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれあたる 瀬々の網代木 (あさぼらけ うじのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ) 権中納言定頼 「冬の夜がほのぼのと明ける頃、宇治川に立ちこめた霧がとぎれとぎれになって、浅瀬に仕掛けられた網代…
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな (いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな) 左京大夫道雅 「今となってはひたすら、会えなくなってしまったあなたへの思いを、人伝ではなく直接あなたに言う方…
夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ (よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ) 清少納言 「夜の明けないうちに、ニワトリの鳴き声をまねても、あなたとわたしとの間の逢坂の関は決して通ることは出来…
いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな (いにしへの ならのみやこの やへざくら けふここのへの にほひぬるかな) 伊勢大輔 「むかし奈良の都で咲いた八重桜が、今日はこの九重の宮中で、色美しく咲き誇っていることですよ。 いせのたいふ…