2008-01-26から1日間の記事一覧
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず (みせばやな をじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかはらず) 殷富門院大輔 「あなたに恋いこがれて流す血の涙で、色の変わったこの袖をお見せしたいものです。雄島の漁師の袖が…
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする (たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする) 式子内親王 「わが命よ、絶えるなら絶えてしまえ。生きながらえて、心に秘めたあなたへの思いが隠しきれなくなるか…
難波江の 蘆かりねの ひとよゆえ みをつくしてや 恋ひわたるべき (なにはえの あしのかりねの ひとよゆえ みをつくしてや こひわたるべき) 皇嘉門院別当 「難波の入り江で刈られた、短い蘆の一節のようなかりそめの一夜をあなたと過ごしたばかりに、わが身…
村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮 (むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ) 寂蓮法師 「にわか雨が通り過ぎ、そのしずくも乾かないうちに、槙の葉のあたりに、白く霧が立ち上る秋の夕暮れであるよ とど…
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな (なげけとて つきやはものを おもはする かこちがほなる わがなみだかな) 西行法師 「嘆けといって月がわたしに物思いをさせるのか。そうではない。月のせいにして、わたしの恋の思い出に涙を流して…