2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧
契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり (ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり) 藤原基俊 「あなたがお約束して下さった「ただわたしを頼みにせよ、させも草だ」という言葉を命にしてきましたが、こ…
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを (うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを) 源俊頼朝臣 「わたしに冷たかった人が、わたしに心を向けてくれますように。初瀬の観音様にそうお願いしましたが…
高砂の 尾上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ (たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ) 権中納言匡房 「遥か遠く高い山の峰の桜が咲いたな。人里近い山の霞よ。花が見えなくなるから、立ちこめないでおくれ。 …
音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじゃ袖の ぬれもこそすれ (おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじゃそでの ぬれもこそすれ) 祐子内親王家紀伊 「うわさに高い高師の浜のあだ波のように、浮気で有名なあなたの言葉は心にかけますまい。あとで袖が…
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く (ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく) 大納言経信 「夕方になると、家の前の田んぼにおとづれる秋風が、蘆葺きのこの粗末な家にも寂しく吹いてくる。 寂しさFRE…
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ (さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづくもおなじ あきのゆうぐれ) 良暹法師 「さびしくて、庵の外に出てあたりを眺めたが、どこもかしこも同じさびしい秋の夕暮れだった。 寂しさM…
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり (あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり) 能因法師 「嵐が吹き散らす三室山の紅葉の葉が、ふもとを流れる竜田川の川面をうめ尽くし、錦のようにするのだな。 竜田あげ」
心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな (こころにも あらでうきよに ながらへば こひしかるべき よはのつきかな) 三条院 「心ならずも、つらいこの世に生きながらえれば、恋しく思い出されるに違いない。今夜の美しい月のことを。 …
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ (はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそおしけれ) 周防内侍 「短い春の夜の夢のような、はかないたわむれの手枕のために、つまらない浮き名が立ったら残念なことです。…
もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし (もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし) 前大僧正行尊 「わたしが懐かしく思うように、おまえも懐かしく思ってくれよ、山桜。こんな山奥では花であるおまえ以外に…
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恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ (うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそおしけれ) 相模 「相手の薄情さを恨み悲しみ、涙にぬれて乾くまもない袖でさえ朽ちないであるのに、この恋のためにつまらない…
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれあたる 瀬々の網代木 (あさぼらけ うじのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ) 権中納言定頼 「冬の夜がほのぼのと明ける頃、宇治川に立ちこめた霧がとぎれとぎれになって、浅瀬に仕掛けられた網代…
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな (いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな) 左京大夫道雅 「今となってはひたすら、会えなくなってしまったあなたへの思いを、人伝ではなく直接あなたに言う方…
夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ (よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ) 清少納言 「夜の明けないうちに、ニワトリの鳴き声をまねても、あなたとわたしとの間の逢坂の関は決して通ることは出来…
いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな (いにしへの ならのみやこの やへざくら けふここのへの にほひぬるかな) 伊勢大輔 「むかし奈良の都で咲いた八重桜が、今日はこの九重の宮中で、色美しく咲き誇っていることですよ。 いせのたいふ…
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 (あらざらむ このよのほかに おもひでに いまひとたびの あふこともがな) 小式部内侍 「大江山を越え、生野を通って行く道は遠いので、まだ天の橋立の地は踏んでみたことはありません。 歌合に出す…
やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな (やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな) 赤染衛門 「あなたが来ないとわかっていれば、ためらわず寝てしまったでしょうに。ずっとお待ちしているうちに…
有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする (ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする) 大弐三位 「有馬山の近く、猪名の笹原が風が吹かれて「そよ」とざわめくように、あなたは私の思いが頼りないというけれど、…
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな (めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よはのつきかな) 紫式部 「久しぶりに会った幼なじみは、あっという間に帰って行ってしまった。あわただしく雲に隠れてしまう夜…
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな (あらざらむ このよのほかに おもひでに いまひとたびの あふこともがな) 和泉式部 「わたしはもうすぐ病でこの世を去るでしょう。せめてその前にもう一度あなたにお逢いしたいものです…
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ (たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ) 大納言公任 「この滝の流れは絶えて、水の音が聞こえなくなってからずいぶんたつ。その美しい滝の音は評判で、世…
忘れじの 行末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな (わすれじの ゆくすえまでは かたければ けふをかぎりの いのちともがな) 儀同三司母 「あなたがいつまでも忘れないとおっしゃるその言葉は、あてにならならないので、その嬉しい言葉を胸に今日限…
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る (なげきつつ ひとりねるよの あくるまは いかにひさしき ものとかはしる) 右大将道綱母 「おいでにならないのを嘆きながら、一人で寝る夜がどれほど長いか、あなたはおわかりにならないで…
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな (あけぬれば くるるものとは しりながら なほうらめしき あさぼらけかな) 藤原道信朝臣 「夜があければ、やがてまた日は暮れる。そうすればあなたに逢えるとしってはいるが、恨めしく思え…
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを (かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを) 藤原実方朝臣 「伊吹山のさしも草が燃えるように、わたしの恋しい思いが激しいとは、あなたはご存じないでしょう…
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな (きみがため をしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな) 藤原義孝 「あなたに逢うためなら死んでも惜しくないと思っていたこの命も、逢うことのできた今ではいつまでも長生きを…
みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ (みかきもり えじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ) 大中臣能宣朝臣 「宮中の門を守る兵士のたくかがり火が夜は燃え、昼は消えているように、わたしの恋する気持ち…
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな (かぜをいたみ いはうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな) 源重之 「うち寄せる波が岩に当たってくだけるように、わたしの恋心も、岩のように平気でいるあなたにあたって、…
八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり (やへむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり) 恵慶法師 「いくえにもむぐらが生い茂る、この寂しい宿に、人は誰も来ないが秋だけはやってきたんだな 陽当たり良好物…